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名大Cafeと開催「今宵限りのiPS Bar」iPS細胞とはどんなものなのか、どのように医療に役立つか


「iPS細胞が発見されて何が変わるの?」

 一番大きいのは、心臓や目など体の一部を人間の手で作れるようになることね。今まで心臓や肝臓(かんぞう)など内臓の具合が悪い場合に、その部分を他の人から移植(いしょく)する方法があったの。でも、人からもらった内臓が自分の体になじまず、苦しむ人が多かったの。

「自分の体から作ったiPS細胞で内臓を作れば、体になじみやすいんだね。」

 そう。まだ心臓や肝臓などを丸ごと作り出すことには成功していないけど、目の難しい病気を治すために、目の奥にある膜(まく)をiPS細胞から作る研究が進んでいるそうよ。

「薬の開発に役立つとも言ってたね。」

 そう。例えば心臓の病気に効(き)く新しい薬を開発するときは、心臓の病気を持っている人のiPS細胞から心臓の一部を作り出して、薬に効果(こうか)があるのか、副作用(ふくさよう)と呼(よ)ばれる体への悪い影響(えいきょう)がないかなどをしっかりチェックできるようになったの。この方法を使って、体が思うように動かなくなる神経(しんけい)の病気を治す薬の候補(こうほ)を見つけたと最近話題になったわ。

「ところで、お父さんがES細胞というiPS細胞に似(に)たものがあるよって言ってたけど、何が違うの?」

いい質問(しつもん)ね。ES細胞も、色々な種類の細胞に変身できる便利(べんり)な細胞なの。iPS細胞より早く発見されて、アメリカやヨーロッパでは日本より研究が進んでいるわ。でもね、ES細胞は、やがて赤ちゃんになる受精卵(じゅせいらん)をお母さんのおなかから取り出して作るため、利用(りよう)して良いかどうか国によって意見が分かれているの。

「難しい問題だね。iPS細胞には問題はないの?」

 よくいわれるのが「がん」になる可能性(かのうせい)よ。iPS細胞を作る途中(とちゅう)で、もともとの細胞にはない遺伝子を加(くわ)えるでしょ。それによって細胞が正常に働かないがん細胞になる危険性があるの。

「だから、研究者の人は、より安全な細胞を作るために努力(どりょく)してるんだね。」

 そうね。病気の人にすぐに治療(ちりょう)をするために、iPS細胞をあらかじめ保存(ほぞん)する「iPSバンク」がもうすぐ誕生するといわれているし、様々な分野で研究が進んでいるの。iPS細胞のおかげで、医療が大きく進歩するといいわね。


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