『梅は匂い、桜は花、人は心ぞ、振りいらぬ』。「指切りげんまん」「通(つう)ですな」と言う男は色事遊び人じゃ!現代の「ヤバイ」に代わる言葉があった!遊女が「ありんす言葉」を使った理由
- miyoshinoie
- 2016年3月4日
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空気はまだひんやりしますが、昨日は穏やかな桃の節句となりました。早いもので、明日は二十四節気の一つ「啓蟄」。ひな祭りも終わり、ひな人形は啓蟄までに仕舞うと良いとされています。土中に冬ごもりしていた虫たちが一斉に春のことぶれを感じ取り、地上に顔をのぞかせる頃です。まだまだ寒い時節ではありますが、一雨ごとに気温が上がり、日差しも徐々に暖かくなってきます。奈良東大寺のお水取りも始まり、草木萌(も)え出る爛漫の春もすぐそこに来ています。
『梅は匂い、桜は花、人は心ぞ、振りいらぬ』
という言葉を思い出しますが、梅はその香を、桜は花の美しさを、そして人は心を愛(め)でよ、といいます。そして、人は心があれば外見を飾りつけて装うことなどどうだっていいと言っています。単純なことを言っているようで、なかなかに含蓄が深く、日本古典の素晴らしさかもしれません。
「春」という言葉は青春を筆頭に「辛い寒さからの開放、旅立ち、始まり」など期待と活気じみているが、「回春」というと「若返ること」からエステやデリヘリなどとスケベなことばかりが検索結果で出る。また、「桃」もそう。桃の節句はお祝いごと。「桃色遊び」「桃色吐息」なんぞというとスケベ100%、全く意味が違ってしまう。
江戸時代には、今と違う口語がありました。しかも職業や身分によって全然違うのです。そのうちの一つは、江戸庶民の話し方。これは「浮世風呂」や「浮世床」(式亭三馬著)によく描かれています。そしてもう一つの例は、遊里語、つまり吉原の遊郭で遊女達に使われていた言葉のことです。地方から来た女郎たちになまりがあっても、この遊里語を使うことで、なんともいえない艶っぽさがでたとか。
現在に残る遊郭言葉は他にも数多くありますが、その道に詳しい人のことを呼ぶ際の「通(つう)」というのもその一つです。もともとは知的で遊び上手な人のことを指しています。約束をする際の「指切りげんまん」もそうです。約束を破らないしるしとして相手と小指を絡み合わせる仕草を伴い、「げんまん」は「拳万」、もし約束を破ったら拳固で1万回打つという意味があります。「指切り」は、心の誠実さの証として小指の先を切り取って男に贈ったという慣わしに基づきます。巧みな技を意味する「手練」と、人を自在に操る手段を意味する「手管」という似た意味の言葉を重ねた「手練手管」も遊郭から生まれた言葉で、客の気を引くために嘘をついたり、嫉妬させたり、気を持たせたりとあの手この手を用いたことからきています。 ちなみに、客が来ず暇なこと(収入ゼロ)を「お」とか「お茶を挽く」などと言いますが、これも花街からきた言葉です。
時代劇で聞く、遊女の台詞といえば、語尾に特徴がありますよね。彼女たちは46時中、「~でありんす(~です)」とか「おいでなんし(いらっしゃい)」とか言っています。ところがこの手の「ありんす言葉」なんですが、実際は江戸・吉原の高級遊女が接客する時にだけ、使われるものでした。また、昭和の金持ちの奥様の口癖みたいなイメージのつよい「~ざます」も、元は遊女の言葉なのです。他にも「~ではおっせん」……「~ではありません」「なんざんす?」……「なんでございますの?」「そうざいます」……「そうでございます」といった感じ。あぁ、聞いたことある、と思いませんか? 遊女が自分を指していう「わっち」は「わたし」が訛ったものですが、他にも吉原の中でだけ、特別な使われ方をする言葉もありました。「主(ぬし)」……お客や、尊敬に値する人物のことを言うときに使う。「塩次郎」……うぬぼれの強い自信家のこと。「武左」……「むさ」と発音。つまり、武者=武士の客に限らず、いばる客のこと。「七夕」……「たなばた」と読むが、店の中をバタバタ足音うるさく歩く客のこと。「おゆかり様」……お馴染み客のこと。「さし」……事情があって会いたくない客のこと。「もてる」……吉原では「遊女に丁寧にもてなされる」との意味。ここから転じて、現代の「モテる」の意味が生まれた。
そして現代日本では若者を中心に、良いことにも悪いことにも「ヤバい!」と連呼する言葉使いが問題視されていますけれど、この「ヤバい」に相当するのが、「きさんじなもんだね」でした。「いけないね」「だめだね」という意味と「洒落てるね」という意味が、きさんじなもんだね」の一語に込められていたのです。この手の「ありんす言葉」に期待されていたのは、田舎訛りを隠す効果でしたが、実用性はわりと薄かったようです。また、関西の高級遊女たちは、関西弁でフツーに接客したとのことで、江戸・吉原遊郭特有の文化が「ありんす言葉」だったのです。
ちなみに文頭の写真は、北陸新幹線で人気となっっている金沢名所「東廓 夜の景」。むかし「東廓」、いまは「ひがし茶屋街」と呼ばれています。平成13年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、「街並みの文化財」として保存策が進められています。遊郭街が重要伝統街ならば現代のネオン煌びやかな歓楽街有名ドコも百年後には昭和伝統街して、残すべきじゃ。ちなみに有名ドコを下記列挙しますので、お父さんがその方面に主張したら、夜間不意に携帯TELしてやって下さい。連日、シモネタですみませんでした。
■札幌 ススキノ
値段が安くキャストのビジュアル・レベルが高いことで有名です。
■岐阜 金津園 「日本3大ソープ街」に必ず列挙される有名ソープ街です。
■千葉県 栄町 街自体は外国人街と化して外人キャストが比較的多い場所。
■東京 吉原 誰疑うこと無く日本最大、最上級のソープ街です。
■神奈川 川崎堀之内/南町 かつては「技の川崎」と呼ばれ、キャストのプレイの技術が高い。
■神奈川 福富町 川崎が神奈川西部最大なら、曙町は東部で知らない人はいません。
■滋賀県 雄琴 中部、近畿では知らない人はいない歴史あるソープ街です。
■神戸 福原
「西の吉原」と言うほどの規模とポテンシャルの高いソープ街です。