「洒落たカフェで話ししよっか、どっかイイ店ないか?」「じゃあ、そこの喫茶店でコーヒーでも飲みながらネットで探してみよっか!」と言うのは郷土所以の血筋だったのだ
おもしろい調査データを見つけた(上表)。都宮市と浜松市、どっちが日本一のギョーザの街か──。毎年、総務省の家計調査(年報)が発表になるたび、話題になる対決。家計調査とは、国民生活の実態を把握し、個人消費の動向などを分析するための資料として、総務省統計局が実施・提供している統計調査である。全国168市町村、約9000世帯から調査世帯が選ばれ、収入・支出について詳細な家計簿を付けてもらうことで集計されている。昨年1年間の調査結果によると、1世帯当たりのギョーザ購入額は浜松市が4646円で1位、宇都宮市が3981円で2位となった。
この他にも、家計調査を眺めてみると、福井市と京都市がコロッケで争っていたり、水戸市が意外にも納豆で福島市など他都市の後塵を拝していることなどが分かる。福井でコロッケがよく食べられているのは「共働き率が高いため、総菜として出来合いを買って帰ることが多いから」といわれる。確かにコロッケのほか、総菜のカツレツの消費額でも福井は日本一だ。もっとも、それだけではない。明治から昭和にかけて、北海道に開拓民を最も多く送り出したのは北陸3県からだったという。そのため、両地の間では海上交易が盛んで、開拓地で収穫されたジャガイモなどが北陸に大量に持ち込まれた。福井に限らず北陸にコロッケ好きが多いのは、「北海道とのジャガイモ交易の影響」という説もある。冒頭表では、都市別に家計調査の食品消費額で上位を占めるものを抜粋。眺めてみると、各地の食生活が鮮やかに浮き出てくる。山形市がサトイモとこんにゃくの消費額1位なのは、郷土料理「芋煮」を反映したものだろうし、「水炊き」や「筑前煮」が名物の福岡市は鶏肉消費額でトップ。仙台市がかまぼこ、神戸市が食パン、横浜市がシューマイが1位というのもイメージ通りだ。
この家系調査が夫婦げんかのもとになっているらしい。家計調査だから、自分だけでなく夫の分もしっかり記録しなければならない。結婚以来、共働きの夫とは財布を別々にしてきたが、これを機にお互いに全て開示する羽目になった。初めて知った夫の貯金額。自分は昼食を500円以内で済ませているのに、夫はいいものを食べていることも分かった。
学生のころよくやっていた、「どこの喫茶店行くか、そこの喫茶店で話そう」。これは名古屋人独特の行動であり、伝統であり、郷土特性であり、血筋だったのだと知った。長屋住まいの狭い家では客間もないのが、下町では当たり前なので来客時は「むかえの喫茶店で話してくるワ」と親父が言っていた。だから10畳くらいの広さの小さな街喫茶店が百メートルに一軒は有った。名古屋市は「外食、喫茶店が大好き」で食消費内容トップに成っているわけだ。