1升ビン3本の酒は番茶を薄めた「お茶け」、かまぼこは大根の薄切り、玉子焼きはたくあん「長屋の花見」。「花より団子」今では「花より男子」だげな
最新の桜の満開予想。29日が福岡県、30日が名古屋市、31日に東京都、そして来月1日が大阪府という予想です。一般的には、桜の開花から1週間後が見頃と言われていますが、関東から西では、いずれも開花から満開まで10日ほどかかるという予想に変わりました。今年は待ち遠しかった分、しっかりとお花見を楽しめそうです。
中国の四季は青帝、炎帝、白帝、黒帝という男性の神々がそれぞれ司っていますが、日本の四季は女神が司ります。 平城京の東、佐保山に住む佐保姫が春を司り、野山を花で埋め尽くします。温んだ水や地面から湧き立つ水蒸気で、薄い帯のように棚引く春霞は「佐保姫の裳裾(もすそ)」。 白く柔らかな春霞の衣をまとう佐保姫の、裾がふれた場所から花開き、薄紅色の情景が広がってゆきます。
花見の文化は平安時代からありましたが、一般庶民、老若男女、町人や長屋の住民までが楽しむようになったのは江戸の頃からです。 楽しみ方はそれぞれで、切なくもおかしい長屋の住民の花見は落語の恰好の題材です 花見を題材にした落語はいくつかありますが、「長屋の花見」もよく知られた話の一つです。 貧乏長屋の住人たちの花見は、卵焼きに見えるのがたくあんで、カマボコは大根の漬物で代用し、酒は薄めた番茶といった具合でまったく盛り上がらず、番茶の「おちゃけ」をたくさん注がれたりするとケンカになる始末です。 その内にやけくそになりだして、そこからのやり取りがまた笑いを誘います。
「ほたら、卵焼きをいただきま」
「おい。おい。卵焼きやから音立てたらあかんで」
「ええっ!けどこれコウコ(沢庵)やで。コウコ、ボリボリいうて音立てな食えんがな」
「何言うてんねん。音立てんと口ン中ロレロレして飲み込まんかい」
「えらいこっちゃで。これ…おいっ!く、苦しい!!」
「あいつ、コウコ喉詰めよったで、茶ア飲ませたれ!!おいっ!大丈夫か!」
「…ああ苦し。おい。みんな気イつけや。卵焼き食うの命がけやで」
「ンな、アホなこと言いないな」
ここで、「おなじみの『貧乏花見』半ばでございます」と言って終わる。話の筋ではこのあと、二人が喧嘩のふりをして酒と馳走を奪いに行く件となる。
また、これ以外にも無理矢理楽しそうにドンチャン騒ぎをしていたため、大衆からも注目され始め、それを観た大家さんが「ここに集めた酒・肴はみんな贋物だが、私たちを取り囲むこの大衆は紛れもない本物なんだぞ」と言ったの対し、連中のうちの1人が「な~に、これもみんなサクラでございます」という地口落ちでサゲるパターンもある。
花見を題材にした落語では「花見酒」も有名です。
お調子者で計算が苦手でおっちょこちょいで貧乏で酒好きな登場人物は落語の定番。辰と兄貴分の熊が、花見の場所で酒を売ったら儲かるだろうと算段し、酒に酒樽、柄杓(ひしゃく)、天秤棒に使う竹竿、つり銭用の十文まで、儲かったら返すからとすべて前借りで揃えてもらいます。どのくらい儲かるかなどと二人で捕らぬ狸の皮算用をしながら花見会場を目指して歩いていきますが、そのうち酒の匂いに我慢しきれず熊がそわそわしだします。ちょうど懐には十文(酒屋から借りたつり銭用のお金)がある。金を払えば文句がないだろうということで、熊が十文を払いまず一杯。天秤の先棒と後棒を交替してまた歩き出すと、今度は後ろになった辰が酒の匂いにたまらずそわそわ。熊が「そんなに飲みてぇんならさっきの十文で買って飲みゃいいじゃねぇか」、辰は「さすが兄貴は頭がいいね」ってんでまた一杯。当然、こんなことを繰り返せば花見会場につくころには二人ともへべれけです。酒を売ろうと樽を見たら二人で飲みつくして空っぽ。売り切れたことを喜んで売上げを勘定したら十文しかない。勘定が合わないってんで考えてみると、初めの十文でおれが買って、次におまえが買って、またおれが買って、おまえが買って結局飲み干してしまった。勘定もあってる。「なるほど、無駄がなくていいや」っていうのがオチになります。
この落語を念頭に置いたのが「花見酒経済」といわれている、今でもよくあるハナシ。実際は身内で売買を繰り返しているだけで、売り上げが増えたように見えるが、実質は何も変わらず、場合によっては借金だけが残ってしまうようなこともありえる経済の状態を指している。たとえばバブル経済化の信用創造で、土地を担保に借金をし、その借金で土地を買うからまた値上がりし、値上がりを当て込んでまた借金し・・・という状態。最終的には足腰が立たないほどの悪酔いに苦しめられるというのが「花見酒経済」の筋書き。
リーマンショック発端のサブプライムローンがまさにコレで江戸時代からアホの典型としていたのが面白い。「土地、家屋価値がバンバン上がっているから借金して購入して、暫く後に売ればゼッタイ儲かるゾ!」といって阿呆も皆が買いまわした結果「バブル崩壊」し価値は激減し借金だけ残る。失われた二十年の日本の失態を20年後にアメリカが起こし、そして今現在、中国がやっている。欲がもとで大損するのは個人の勝手だが、経済に悪影響及ぼし不景気になり、皆に迷惑かけるのは「ヤメテ!!」。