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熊本地震の最中だから考えよう!コスタリカを護れ、そして見習え!「健全な環境無くしては健全な経済成長なし」として軍備費を環境保護にした安全保障!「軍隊を持たない国」の外交戦略


熊本地震の被害は日増しに増え災害地域も拡大し、地震の発生も拡がり収束の兆しがまだ見えない。と同時に地球の裏側の南米エクアドル沖でマグニチュード7.7の地震が発生した。エクアドルに0.3m〜1.0m、コロンビア、コスタリカ、パナマ、ペルーに0.3m未満の津波が到達している。同時期に二つの地震を観て「失われるもの、護るべきもの」が全く異なってることに、改めて環境意識について考えさせらてしまう。

コスタリカは1940年代、国土の75パーセント以上は手つかずの森林に覆われていて、そのほとんどは熱帯雨林だった。ところがその後の数十年間、無計画で激しい森林伐採が続き、国の貴重な森林資源が現金収入に変えられてしまった。1983年にはわずか26パーセントの国土が森林として残るにいたり、森林の減少率は年間5万ヘクタールに達した。この時点で、驚くべきことが起こり始める。1989年には、年間の森林減少率が2万2000ヘクタールにまで減少した。1994年になると、さらに減少して4000ヘクタールとなり、1998年の森林減少率はゼロだった。今日、森林面積は52パーセントまで拡大しているが(1983年の2倍)、政府はこの数字を70パーセントにまで引き上げ、2021年までにカーボンニュートラル化を実現するという野心的な目標を打ち出した。

コスタリカの平和主義については、少なくとも国内的には議論がほぼ出尽くしていると言っていい。「軍隊はあってはならない」という国民的なコンセンサスは揺るぎなく、軍隊がないことによる国内的・国際的効果も実証済みだと言わんばかりだ。現在のコスタリカのチャレンジは、軍事的安全保障の枠組みをとっくの昔に乗り越え、「環境安全保障」にシフトしている。それは、自然環境を守ることのみならず、それを通じて平和をつくり、さらには世界をリードするという外交的試みでもある。2007年、アリアス大統領(当時)は「自然と共生する平和の推進」という宣言を発表し、新たな環境イニシアチブを提唱した。非武装戦略が定着し、次の段階として「人間と自然との戦争」を克服するため、「この惑星にある命をあきらめない」と銘打った新たな課題を提唱したのだ。 2021年までに炭素の排出量と吸収量を同じにする“カーボン・ニュートラル”を達成するという野心的な目標をぶちあげ、「炭素排出を“廃止”することは、コスタリカにとって(1948年の)軍隊の“廃止”に匹敵する」と意気込んだ。達成すれば、現代史上世界初のこととなる。アリアスは、この宣言の中でこう付け加えている。「コスタリカのような経済的に貧しい国が(カーボン・ニュートラルを)達成できるなら、ほかの国がそれをできない正当な理由はない」。つまり、あらかじめ外交カードとしてこの政策を使うぞというわけだ。気候変動に対処することが「人間の安全保障」に寄与することなのは言うまでもない。それだけでなく、コスタリカが世界の中で環境のリーダーとして発言力を増すことを意識しての発言だ。経済的先進国主導の現代世界に対する“挑戦状”ともいえる。今年3月、世界中をコスタリカのニュースが駆け巡った。「年間を通じて再生可能エネルギー100%による発電の見通しが立った」というのだ。目標を6年前倒しで達成ということになる。出力調整が容易な化石燃料による火力発電を「年間を通してゼロにする」というのは、言うほど簡単ではないので、これはちょっとした驚きである。コスタリカがうまいのは、3月の段階で「もう今年いっぱいは火力を使わない」という宣言を早々と出してしまい、世界中のメディアにそれをリリースして、世界に環境先進国のイメージを定着させようとしたその情報戦略だ。環境政策で世界をリードしているという印象が外交的に大きなプラスポイントとなり、この国の対外的安全保障政策に寄与している。 そもそもコスタリカは、エコツーリズムの発祥国として欧米ではつとに有名だ。元来この国が持っている世界一豊かな生態系にあぐらをかくことなく、「コスタリカ=環境先進国」というイメージをより主体的・積極的に世界中に植え付けることで、国際社会における発言力を増そうとしているというわけだ。コスタリカの外交戦略はここ数十年、一貫している。現代世界では誰もが理想と認める価値観と、内政や外交を結び付けることだ。軍備放棄や積極的永世非武装中立もそうだった。軍備放棄やカーボン・ニュートラル、再生可能エネルギー発電率100%の達成といった政策を内政問題にとどめず、外交カードにすることをあらかじめ射程に入れ、他国が反対できないような戦略を立てる。それこそ、コスタリカ外交・安全保障政策の神髄といえる。 コスタリカはどのようにして、これほど驚くべき方向転換をなし得たのか? そして、それと同時進行で教育水準の向上や貧困の減少といった社会的指標においても実にすばらしい結果を残せたのはなぜか? 現在、森林破壊や砂漠化や生物多様性の急激な喪失によって大きな打撃を受けている世界中の国も、同様の成果を期待できるだろうか。正しい組み合わせその答えは、倫理と環境主義と効果的な政策決定の組み合わせにありそうだ。コスタリカの主要な意志決定者たちの、既成概念にとらわれない発想を受け入れる姿勢は、1948年の常備軍解散の決定に表われているかもしれない。コスタリカの熱帯雨林に存在するような生物多様性は、製薬会社にとって途方もなく重要な新発見につながる宝庫であろう。加えて、同国が提供するエコツーリズムは、ある人にとっては単にリラックスできる休暇かもしれないが、現地を訪れた人々の心に環境保護に関する新たな認識を芽生えさせる可能性がある。世界に示す教訓コスタリカの政治家やビジネスリーダーたちが下した決断のうち、どれが他の国でも採用できるかを予測するのは難しい。当然、すべての国が国際的エコツーリズムに大きく依存できるわけではない。しかしコスタリカでは、健全な経済は健全な環境なしに長期的に存続するのは不可能だとする基本的認識が共感を呼んだようであり、それが基盤となって公共部門と民間部門の両方で環境に配慮した意志決定が何十年も行われてきた。恐らくコスタリカが世界に与えた最大の貢献の1つは、公共部門と民間部門が共有し、国全体に利益をもたらす環境的倫理システムを国が確立することは可能であると単純明快に示したことだと言えよう。 2007年、カーボン・ニュートラルと再生可能エネルギー発電100% の達成を宣言した。2007年、アリアス大統領(当時)は「自然と共生する平和の推進」という宣言を発表し、新たな環境イニシアチブを提唱した。非武装戦略が定着し、次の段階として「人間と自然との戦争」を克服するため、「この惑星にある命をあきらめない」と銘打った新たな課題を提唱したのだ。2021年までに炭素の排出量と吸収量を同じにする“カーボン・ニュートラル”を達成するという野心的な目標をぶちあげ、「炭素排出を“廃止”することは、コスタリカにとって(1948年の)軍隊の“廃止”に匹敵する」と意気込んだ。達成すれば、現代史上世界初のこととなる。アリアスは、この宣言の中でこう付け加えている。「コスタリカのような経済的に貧しい国が(カーボン・ニュートラルを)達成できるなら、ほかの国がそれをできない正当な理由はない」。つまり、あらかじめ外交カードとしてこの政策を使うぞというわけだ。気候変動に対処することが「人間の安全保障」に寄与することなのは言うまでもない。それだけでなく、コスタリカが世界の中で環境のリーダーとして発言力を増すことを意識しての発言だ。経済的先進国主導の現代世界に対する“挑戦状”ともいえるのだ。 今年3月、世界中をコスタリカのニュースが駆け巡った。「年間を通じて再生可能エネルギー100%による発電の見通しが立った」というのだ。目標を6年前倒しで達成ということになる。出力調整が容易な化石燃料による火力発電を「年間を通してゼロにする」というのは、言うほど簡単ではないので、これはちょっとした驚きである。コスタリカがうまいのは、3月の段階で「もう今年いっぱいは火力を使わない」という宣言を早々と出してしまい、世界中のメディアにそれをリリースして、世界に環境先進国のイメージを定着させようとしたその情報戦略だ。環境政策で世界をリードしているという印象が外交的に大きなプラスポイントとなり、この国の対外的安全保障政策に寄与している。 そもそもコスタリカは、エコツーリズムの発祥国として欧米ではつとに有名だ。元来この国が持っている世界一豊かな生態系にあぐらをかくことなく、「コスタリカ=環境先進国」というイメージをより主体的・積極的に世界中に植え付けることで、国際社会における発言力を増そうとしているというわけだ。コスタリカの外交戦略はここ数十年、一貫している。現代世界では誰もが理想と認める価値観と、内政や外交を結び付けることだ。軍備放棄や積極的永世非武装中立もそうだった。軍備放棄やカーボン・ニュートラル、再生可能エネルギー発電率100%の達成といった政策を内政問題にとどめず、外交カードにすることをあらかじめ射程に入れ、他国が反対できないような戦略を立てる。それこそ、コスタリカ外交・安全保障政策の神髄といえる。

コスタリカに関するネット風評の中で、よく「軍隊を持たないといっても、結局は米軍に守られているのだろう」というものを散見する。が、国際関係はそんな一言で語れるほど単純ではない。コスタリカが属する中米という地域は、地政学的に言って、米国の強力な政治的・経済的・軍事的影響から逃れられるような甘い場所ではない。しかも中米は米国からすると吹けば飛ぶような小国の集まりであり、日本ほど慎重さが求められる相手でもない。米国の影響力は、対日関係とは比べ物にならないほど強いのだ。20世紀後半においては、特にその軍事的影響は強く、中南米大陸地域で米国の軍事的な直接的・間接的介入を受けなかった国はなかったほどだ。そんな中で、コスタリカは基本的に親米路線を堅持しつつも、「NO」と言うべきときにはしっかり「NO」をつきつける独自路線を歩んできた。そうできた理由は何なのか。 コスタリカは、自国が他国に軍事的に干渉しない代わりに、米軍からの干渉も遠ざけてきた。それは単に「平和主義」に基づく外交政策によるものだけではない。米国は「民主主義の広告塔」と位置づけていた。そのため、米国自身もコスタリカに対する過度な干渉を避ける傾向があった。それを逆手にとれたからこそ、コスタリカは独自外交を展開する素地ができたのだ。このように、外交には内政も深く関係してくる。現在日本が抱えている内政課題についても、それらを日本政府と日本人がどう扱うかに米国も注目している。つまり経済成長邁進と軍備拡大で自国の大気水質破壊のみならず東南アジア海域までも環境破壊し続けている、大国中国を隣国にした経済環境先進国、日本の外交戦略のお手並みを全世界が拝見しているわけだ。スマートにこなしたら世界中の大喝采を戴ける、チャンスなんだけどなア。


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